モメンタム

モメンタムとは? 

モメンタムとは、テクニカル分析において、価格の変化率を表す概念です。 

これにより、トレーダーは、価格がどのくらい速くまたはどのくらいゆっくりと上昇しているのか、あるいは下降しているのかを知ることができます。 

モメンタムを測定するために、一連のテクニカル指標が作られました。 
 

なぜモメンタムと呼ばれるのか? 

モメンタムは、資産の価格が変化する速度を計算することで機能します。したがって、モメンタム指標は、市場のトレンドの強さや弱さを測ることができます。 

価格の変化率が鈍化し始めたら、それはトレンドが枯渇しつつあることを示すシグナルです。これは通常、反転が差し迫っていることを示す最初の兆候となります。 

一方、モメンタムが価格の変動率が上昇していることを示しているときは、トレンドが盛り上がっていることを示しています。 

上記の定義から、モメンタム指標は反転を見極めるために使用することができ、また、レンジからのブレイクアウトとそれに続くトレンドの継続を見極めることができます(つまり、ブレイクアウト取引)。これらについては後ほどご紹介します。 

モメンタムはオシレーター系指標の中で最も基本的な指標です。シグナルラインが垂直方向の一方の極値から他方の極値へと移動する傾向があるため、価格が変動するとシグナルラインは一方の価格極値から他方の価格極値へと「振動」します。オシレーターのウィンドウ上の極端な価格を示す領域は、買われすぎ、売られすぎの価格領域として知られています。 

一般的に、すべてのオシレーターは垂直方向に動きます。最良のモメンタム指標の設定には、中間線または中心線と価格の極端な領域(買われすぎ、売られすぎの領域)を持つ明確な垂直のレンジがあります。 

その他の垂直方向のレンジは以下の通りです。 

  • DeMarker:0.00~1.0の範囲で表示されます。0.0が最も売られすぎ、0.1が最も買われすぎになります。売られすぎは0.0~0.3、買われすぎは0.7~1.0となります。 
  • CCI(コモディティ・チャネル・インデックス):多くのプラットフォームでは、CCIの典型的な垂直方向のレンジとして、-100から+100+が使われています。 
  • RSI(相対力指数): RSI は0.0から100.0のレンジで表示され、0.0が最も売られすぎ、100.0が最も買われすぎとなります。売られすぎは0.0から30.0まで、買われすぎは70.0から100.0までです。 
  • ウィリアムズ%R(ウィリアムズ・パーセントレンジ): -100~0.0で表示されます。 -100.0は最も売られすぎ、0.0は最も買われすぎの状態を表します。売られすぎは -100.0 から-80まで、買われすぎは-20から0までとなります。 

モメンタム指標の中には、垂直方向の正確なレンジを持たないものがあります。買われすぎ、売られすぎのレベルを特定するのは主観的な問題であるため、株式のモメンタム指標として利用するのには適していません。 
 

トレンド市場におけるモメンタム指標のシグナルの使用 

モメンタム指標は先行指標です。つまり、価格に反映される前に市場の方向性を示すことができます。そのため、トレンド市場では価格の動きを予測するために、実際に動きが起こる前に使用することができます。 

トレンド相場には2種類あります。 

上昇トレンドは、ハイヤー・ハイとハイヤー・ローによって形成されます。下降トレンドは、ロウワー・ハイとロウワー・ローによって形成されます。ここでは、横ばい市場(レンジ相場、保ち合い相場)は別にして考えます。 

トレンド相場において、モメンタムで利益を得る方法は2つあります。 

  • ダイバージェンス・シグナルを使ったトレンド反転ポイントの検出 
  • フェイラースイング(価格の極端な領域での)反転ポイントの検出 

 ここでは、考えられるオシレーター取引のセットアップを紹介します。 
 

01ダイバージェンス・シグナル 

ダイバージェンスとは、モメンタムのシグナルラインの直近のピークを結んだ線が下向きになり、価格のピークを結んだ同様の線が上向きになる状況のことです。この場合、モメンタムは価格に先行しており、価格は下降方向に修正されると予想されます。これは、弱気のダイバージェンスのセットアップです。 

また、オシレーターのシグナルラインの直近の2つの谷を結んだ線が上向き、価格の直近の谷を結んだ線が下向きの場合も、ダイバージェンスとなります。この場合も、価格が上昇することでダイバージェンスが修正され、価格の谷がオシレーターの谷と一致することが予想されます。 

このシグナルはどの時間枠でも使用できる最高のモメンタム指標の1つです。ただし、ダイバージェンス・シグナルに基づいて取引を開始するためには、トレーダーは引き続きエントリー・シグナル(通常はローソク足シグナル)が必要となります。 コモディティ・チャネル・インデックス・チャートの例

これは、BOAの週足チャートで、価格が弱気のダイバージェンスをどのように修正したかを示す例です。ここで、使用されているモメンタム指標は、CCI(コモディティ・チャンネル・インデックス)です。また、モメンタムとDeMarkerを使うこともできます。この3つは、ダイバージェンス・シグナル取引において、最高のモメンタム指標です。 

エントリー・シグナルは、ハンマーと弱気のローソク足から判断し、ショート取引を行います。弱気のダイバージェンスから売り取引を終了する際には、以前のサポートライン、またはレジスタンスラインからサポートラインに変わった(上記のような)レベルを目安にするのが良いでしょう。 

似たようなセットアップ(逆)を使って、強気のダイバージェンス・シナリオを検出することもできます。 

強気のダイバージェンス・シナリオ
 

前述の売り取引の例から、上のチャートでダイバージェンスとエントリーまたはイグジットポイントを見つけてみましょう。 
 

02フェイラースイング 

トレンド相場では、価格の極端な変動(買われすぎ・売られすぎの相場状態)を利用して、価格の反転ポイントを検出することができます。しかし、多くのトレーダーはこのシグナルを間違って受け取っています。どんなに優れたモメンタムであっても、極端な価格を使ったシグナルは正しく解釈しなければ、取引のセットアップ全体が台無しになってしまいます。 

トレーダーが知っておくべきことは、モメンタムのシグナルラインが価格の極端な領域に長く留まることがあり、その間、価格は上昇トレンドでは高く、下降トレンドでは低くなっていく可能性があるということです。このような状況で、早々にリバーサル・トレードを仕掛けても失敗します。 

そこで、「フェイラースイング」という考え方があります。フェイラースイングとは、 RSIが高値更新(安値更新)に失敗してトレンドが転換していく際に現れるチャートパターンのことで、 RSIの買われすぎ基準である70%以上と売られすぎ基準である30%以下で発生する、大きなトレンド転換のサインです。 

フェイラースイングには2つの種類があります。 

1つ目は、トップフェイラースイングです。上昇トレンド中、70%以上の高値をつけたRSIが反転し下降した後に、再び上昇するものの、高値を更新できずに下降を始めるという動きのことです。上昇から下降へのトレンド転換を示唆しています。 

2つ目は、ボトムフェイラースイングです。下降トレンド中、30%以下の安値をつけたRSIが反転し上昇した後に、再び下降するものの、安値を更新できずに上昇を始めるという動きのことです。下降から上昇へのトレンド転換を示唆しています。 

ここでは、トレンド相場でモメンタムの反転を絞り込むために、このセットアップを検出して利用する方法を紹介します。 トレンド相場でモメンタムの反転

上記のチャートでは、シグナルラインが長い間買われすぎの領域に留まっていました。「フェイラースイング」の直前に、この指標は3週間近く買われすぎの状態にあったといえます。 

しかし、2つの連続したロウワー・ピークが形成され、強気派がさらなる上昇トレンドを維持することができなかったことを示しています。上昇トレンドの勢いは失速し、下降トレンドへと転換しています。 

同様の設定は、売られ過ぎの領域でも発生します。しかし、買われすぎの領域でのフェイラースイングは、より強い価格の反転をもたらす傾向があります。 

このチャートでは、3.51ドルの値動きがあり、100株の購入で351ドルになった可能性があるのです。